風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『ひとつむぎの手』 知念実希人

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過酷な勤務の日々を送る平良祐介は心臓外科医への道を志す。
そんな中で権力者赤石が論文データを捏造したと告発する怪文書が出回り
真相を探ることに・・そこにある真実とは何なのかー。

知念実希人の作品を初めて読んだのですが
細かな技術的なことに加えよく出来た構成に緻密な背景だなと
知らべたら知念さんって医師として勤務されてるそうで
体制や仕組みに詳しいわけです。

中でも患者との心温まるエピソードや研修医の現実の中で生まれるドラスティックな話は
現実なのかも知れないと思うとグッと現実感が増すものですね。

ありたい姿と現実の中で折り合いを付ける心や
葛藤の両面が進行しながら進み、死を想像したり
組織としての医療を考えると複雑な問題を孕んだように思われるけど解はシンプル。

満足して生きる為の根源は何だったのか?

家族の愛だったり患者への想いだったり
それを成す手段は決してひとつじゃない。

初心って大事ですね。