今では住む人がいなく敷地の草は生え放題の場所へ
親族5人が島に草刈りに出かける。
嘗ては想像できないような島の記憶があった・・。
第162回芥川賞受賞作。
偶に意味の分からない家族の行事ってあるけども
そんな暮らした人々の歴史ってほんと興味深いものです。
同じ場所なのに・・ほんの数十年の間にあった物語
それは遠い蝦夷へ行った鯨取りだったり、
朝鮮半島へ向かう途中で難破し助けられた朝鮮人。
カヌーで島にたどりついた無謀な中学生。
それぞれの話は語り継がれることのないような日常の積み重ね
何の気ない歴史に埋もれた話なんですが
それぞれの人生に刻まれた記憶は確かで深く掛買いのないもの。
そう考えると人の暮らしなんて儚くもあり唯一無二。
そしてまた歴史はこの場所に刻まれ刈られる草の様に消え
再び伸びまた土に帰る。
この世界の営みって舞台は変わらないのに演者は変わる。
全ては移り変わる。