薄曇りの空の下、気温は30℃。
でも、不思議と暑さが和らいで感じられるのは、海風のせいだろうか。
気ままに自転車を走らせると、まだサルスベリの花が咲く。
坂道をしばらく上っていくと、一際目を引く赤レンガの建物が見えてきた。
明治40年(1907年)に完成したこの重厚な建物は、旧呉鎮守府の海兵団本部。
日本の近代化を支えた軍事都市・呉の歴史を今に伝える貴重な遺産。
現在は海上自衛隊の施設として使われており、その荘厳な佇まいからは、当時の面影が感じられる。
さらに山の中腹を進むと、眼下には巨大なドックの群れが広がる。
かつて製鉄所があった場所だが、現在は解体が進み、新たな防衛拠点へと生まれ変わろうとしている。
道中、埋め立てられて陸続きになった鍋小島に立ち寄る。
かつて島だった面影を残す一角で、歴史の移り変わりを感じる。
しばらく進むと、趣のあるレンガ倉庫が見えてくる。
そして、海沿いには掃海艇や潜水艦が停泊している。
潜水艦から何やら排気が上がっている。充電中なのだろうか。
丘の上まで上がると、そこには正岡子規の句碑があった。
「呉かあらぬ 春の裾山 灯をともす」と刻まれている。
明治時代にこの地を訪れた子規が見た景色を想像しながら、しばし休憩。
再び海へと向かい、穏やかな海が見える公園へ。
のんびりと空を舞うカモメを眺め、海沿いの道を走る。
様々な表情を見せる海岸線と、波穏やかな凪の海に、心が癒されてゆく。
---メモ minivero----
走行距離 36.79km
積算距離 6294.55Km