
主人公・尚成の「生殖本能」そのものが語り手となり、
人間の恋愛や性、多様性、社会の在り方を独自の視点で描く物語。
「多様性」を掲げながらも、“空気”という名の見えない壁が存在する現実社会。
効率や合理性、「あるべき姿」を求められる中で、許容しようとしない人々の姿が浮かび上がります。
物語には「拡大・発展・成長」という言葉が繰り返し登場しますが、
それは本当に個人の幸せをもたらすのか?という疑問が突きつけられます。
生殖器という、突飛でユニークな立場から見える世界は、
多様性の押し売りやその背後に潜む傲慢さを容赦なくえぐり出す。
そして、ふと気づくのです。
「そうじゃない人」は、本当にマイノリティなのか。
むしろ、それこそがマジョリティなのではないか、と。