
樹木希林さんと内田裕也さん——あまりにも大きな存在を相次いで失った内田也哉子さん。
「空っぽ」な心境から生まれたのが、15人の表現者たちとの対話と、それに寄り添うエッセイ。
谷川俊太郎さん、坂本龍一さん、小泉今日子さん、養老孟司さん、マツコ・デラックスさん
シャルロット・ゲンズブールさん……。
錚々たる顔ぶれが並ぶ対談は、その華やかさ以上に、読む人の心を静かに揺さぶります。
也哉子さんは、決して物怖じせず、誠実に、そして静かに相手の心に寄り添いながら言葉を交わしていきます。
そこには、人生を生き抜くための小さなヒントが、そっと散りばめられているのです。
誰しも、人生の中でふと心に穴があいたような感覚を覚えることがあります。
大切な人を失ったときかもしれないし、自分の進む道に迷ったときかもしれません。
この本を通して也哉子さんは、自らの「空白」や「足りなさ」を否定せず
ありのままに受け入れることの大切さを伝えてくれます。
多様な言葉や営みとの対話を重ねるなかで、彼女がたどり着いた答えは——
「ないものまでも愛でることができる」という境地。
そしてその先に見えてくる、かすかな光を、ただ心のままに受け止めていく。
それこそが、静かで誠実な旅の姿。