
震災で飼い主を失い、岩手から南へと旅を続ける一匹の犬・多聞(たもん)。
その道中で出会う人々との交流を描いたロードムービー。
馳星周の直木賞受賞作『少年と犬』の映画化作品。
原作は4年前に読んだ。
当時の感想はこちら。
『少年と犬』 馳 星周
https://gotoblueseabicycle.hatenablog.com/entry/2021/01/29/051316
映画は原作から一部構成を変えているが、核となるものは変わらない。
多聞が出会うのは、それぞれに深い傷を抱え、崖っぷちで生きる人たち。
多聞は何も語らず、ただ寄り添い、じっと見つめる。
その存在に救われる、ということが確かにある。
どん底まで削ぎ落とされた人生の中で、ようやく気づく。
本当に大切なものは、いったい何なのだろうか、と。
犬という無条件の存在が、人の心を少しずつほどいていく。
人生の痛みが消えるわけではない。
それでも、誰かと出会い、心を通わせた記憶は、人を前へ進ませる力になる。
そのことを、多聞の姿が静かに教えてくれる。
誰かにとって、そんな存在でありたいと思うな。