
めくらやなぎと眠る女は、村上春樹の6つの短編小説をベースに
ピエール・フォルデス監督がアニメーション映画として結実させた作品。
アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員特別賞を受賞
新潟国際アニメーション映画祭ではグランプリ。
舞台は2011年の東京。
激しいドラマが展開するわけではない。
けれど、目には見えないところで、確実に何かが壊れ、何かが失われている。
映像は、夢と現実の境界をあえて曖昧にする演出。
淡く揺らぐ色彩と、どこか浮遊感のある動きが、心の内側を映し出す。
奇抜でありながら、それは単なる幻想ではなく
胸の奥底に潜む不安や孤独を可視化したもののように感じられる。
喪失に、人はどう向き合うのか。
言葉にできない痛みは、いったいどこへ行くのだろう。
物語は明確な答えを提示しない。
ただ、現実と幻想のあわいを漂いながら、深い余韻を残していく。
あの猫は、どこへ行ったのだろうか。
「見えるものだけが現実ではない」
じわりと心に積もっていく作品。