風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『永遠のとなり』白石一文

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歳をとるって何が変わり
自分や周りにとってどういうことなんだろうか?
主人公と幼馴染の二人の関係はつかず離れず
腐れ縁ってやつなんでしょうね。
主人公達も体力のピークが過ぎて病気したり
仕事や家族だったり
何か大きな波がやって来たりしながらも
人生って否応なく過ぎて行ってしまう
季節に例えるならば秋かな?
そんな季節に生きる二人が直面するテーマに引き込まれてしまいました。
最近の街の店には細分化された欲望は満たされる沢山の商品
しかし不可欠な欲望はどんどん満たされなくなっている
零れ落ちた不可欠な欲望・・
欲望とは無関係に時間は進むんですよね。
そんな時間の嵐の中で本文にあった台詞
「人生も絵とおんなじぞ。上手に描けん、飽きた、つまらん、そげんこと言うて
途中でやめるのとが一番つまらんと。描き上げた絵は、時間が経ってから見直したら
どれもみなお味があるし、そんな時は思いもせっかったような思いでば連れて来たりする」
描き上がった絵はどんな絵になるのか?
完成した後にまた意外な味わいがあるのかも知れませんね。
もっとも感銘した言葉に
「人間はさ、自分というこの狭苦しい、別に面白くもなんともないような弱っちい世界から
どうしても抜け出す事ができんのよ。
その小さな世界と折り合いをつけて生きていくしかないんだよ
幸福と言うのは、人それぞれの折り合いのつけ方でしかないんやろうとわしは思うよ。」
時が経過する過程で受け入れるものは時間だけではないんですね。
受け入れる心の先にあるものが
幸福な場所だったらいいですよね。
誰しもがいつか考える場所をそんな気持ちで歩けたらいいですね。
そんなしみじみとしたいい本でした。