風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『はじめての文学』 村上龍

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9点の短編集、村上龍編です。
作品は
『ハワイアン・ラプソディ』
『フィジーのバニラ』
『ムース・ショコラ』
『おまえ、いいな巨人戦も見れるんだろ?』
『ワイルド・エンジェル』
『空港にて』
『浦島太郎』
『鶴の恩返し』
希望の国エクソダス』(最初の3章のみ)
最初の『ハワイアン・ラプソディ』は前にどこかで読んだけど
切なさと現実の持つ残酷さをも持つファンタジー
最初の短編から龍さんらしいな。
中でも昔話を村上龍がリメイク?したものが面白かったねぇ・・
有名なオリジナル「浦島太郎」は何を伝えたかったのだろうか?
亀を助けて数日竜宮城で過した後
自分の世界は一変し親も知り合いも死に絶えた
未来の世界で・・
これでは亀を助けて踏んだり蹴ったりの話ですよね・・
この作品ではラストは違います
こうでなくちゃーってラストは龍さんならではでこちらのラストの方が魅力的だし
「鶴の恩返し」では残された若者に対して
「幸せにしたいという気持ちだけで
ほかの人を幸せにできる時代は、とっくに終わってるんだ」と言う
相手を愛するならばどうすれば発展的に愛せるのか?
手段とスキルがなかった事を悔やめって事かな。
ファンタジーでは幸せにはなれない日々を営むには
最低限の努力やスキルが必要ですからね。
冒頭にあった文章ですが
「・・・ある種の小説は人の自殺を止める力を持っている。
果てしない「精神の自由」は、世界と自分の関係性の
バリエーションの無限の可能性を示すからだ・・」
精神の自由こそ今の時代を生き抜く力となる創造のエナジーだよね。