風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『光媒の花』道尾秀介

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賞にノミネートされてて気になってた道尾秀介さん
その話題の本『光媒の花』を読んでみました。
六つの短編により構成されてて
第一章の『隠れ鬼』
第二章の『虫送り』
第三章の『冬の蝶』
第四章の『春の蝶』
第五章の『風媒花』
第六章の『遠い光』
となってますが・・
それぞれ登場人物が繋がりつつ主人公が換わり話も展開して進む
巧みな構成で文章が巧く感心するばかり
巧みさと心情に訴えるのはかならずしも比例しないけど(歌みたいですね・・)
この作品はすばらしく効果的に心に刺さる。
あの少女は自分に閉じこもって過去の光を見つめてる・・。
「どうして人は、思い出したくないことは、はっきりと憶えてるくせに
大切なことはっみんな忘れてしまうのか。」
そんな思いが心を過るなぁ。
印象的な文章で・・
「思い出しかない光を見て、その上で揺れてばかりいる。
現実はもっと明るく光ってるということを忘れてしまう、もう遅いだろうか。
それとも、いつかまた、あんなふうに世界は光ってくれるだろうか」
最終章のその後を想像して
光りに包まれて眩しさを感じました。
人は思い出の光を懐かしむけど
明日への光を受けないとね
そうしないと先の光るものは目が眩んで見えないよね・・
世界は光で満ちているのだから・・・。