風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『苦役列車』 西村賢太

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あぁ~この徐々に息苦しくなるような孤独な寂しさ
読んでて鮮明に思い出したのが
学生時代、日雇いの造船ドックでのバイト・・
まさにその日暮らしの港湾労働で生計を立てている
十九歳の貫太の世界を垣間見た気がしました・・
バイトのメンバーも得体の知れない人間や
ハードな作業にもめげないおばさん達の姿を今も思い出すなぁ・・。
あの人達って今どうしてるんだろな・・
「就職したらこんなところ来るんじゃないよ」っておばさんに言われたなぁ・・

本文にあった言葉・・。
「・・そして更には、かかえてるだけだ厄介極まりない、自身の並外れた劣等感より
生じ来るところの、浅ましい妬みやそねみに絶えず自我を侵食されながら
この先の道行きを終点まで走っていくことを思えば
貫多はこの世がひどく味気なくって息苦しい
一個の苦役の従事にも等しく感じられた」

その時の自分の心のあり方も関係あったんだなぁ・・って今は思う
あの闇を抱えてた日々も今なら懐かしく思える。
辛いだけじゃなくて何かある侘しさ・・
帰りにバイト代から買った、たい焼きの甘さ
甘いコーヒーの温かさは今でも忘れない。
読みながらそんな日々を思い出してました。
第144回芥川賞受賞。