風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『すべて真夜中の恋人たち』 川上未映子

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人と人が出会い相手を想うことって
シンプルだけど奇跡のようなもの
実態がありそうで目に見えないものなんですよね
その証は心に刻まれるだけなのだし
この話の中であった粒子や光の話のよう・・。
そんな刹那のようなものに人は恋をして相手に恋焦がれる
人類の永遠のテーマのようですよね。
ここに登場するのは主人公で校閲者の入江冬子
その友人の石川聖、それに冬子が恋をする相手の中高年男性の三束の3人なのですが
それぞれにいろいろな理由でつらい部分もあるけど
人を思いやることの大らかさや優しさを感じる好きな場面があって
酒を飲んでしか合えない冬子を三束が
冬子にその事を何も問わなかった場面で
何故、気付いてて聞かなかったのか?と言う冬子に
「人には色んな事情があると思うので」って台詞が
好きなんですよね。
ここだけ書くと・・・えーっ?そんだけって感じですけど
ここに至るお話がいいんですよね。
色んな事情・・・。
実際、私や周りの人って
周りのいろんな事情を考えて接してるだろうか?
自分が自分がって世の中で
聞きたいことを聞かず
相手を慮る心って
人と接する時に最も大事な事だと思うんですよね。
そんなそれぞれの不器用さや優しさが結実すればいいんだけども・・・。
本文にはないけどある言葉を思い出しました。
『恋をして恋を失った方が、一度も恋をしなかったよりマシである』
人は傷ついても誰かと分かち合ったこと
その傷からも生きる力が湧き出すような輝きや煌き。
そんな光の話が本文にあるけども
光は光自体は見ることが出来ない
しかし物体にぶつかる時
人はそれを見ることが出来る。
まさに人もそうなのかもしれないね。
人を信じたくなる素敵な物語でした。