風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『ふがいない僕は空を見た』 窪美澄

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コスプレにイジメ、不倫に同性愛など
衝撃的で刺激的な内容だけど
違和感もなく自然な話として心を掴む。
大事なのはそこに書かれてるハートなんですよね。
セクシャリティ”ってのは
どこで生まれるのか?不思議だけど
そんな性を望まなくとも
それを持ち生きて行く
そんな人との関係性の中に根源がありそうですね。
出会う人もそれぞれに襲い掛かる逆風やハンディ
人には言えない悩みや秘密。
その中で人は時に無力でひれ伏してしまうこともある。
しかしそこには絶望じゃなく希望が見えて来るから不思議なんですよね。
主人公、斉藤卓巳を中心にした短編から
他の登場人物を中心とした短編群は
それぞれの光と影を見事に浮かび上がらせることに見事に成功してて
ページをめくるのが楽しみになりました。
そんな主人公の友人を中心にした作品で
好きな場面なんですが
「・・・どうか今夜、あの人が寒い思いをしていませんように。ぼくはいじわるな神さまに一度だけ祈った。」

この作品のこの言葉はすべてを集約したようだ。
私もいじわるな神様に祈りたい。
それからのあの人達が寒い思いをしないようにと・・。


ちなみに・・
第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受
2011年本屋大賞第2位
次の5作品が入ってます。
・ミクマリ
・世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸
・2035年のオーガズム
セイタカアワダチソウの空
・花粉・受粉