風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『KAGEROU』 齋藤智裕

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”かげろう”のようなに人生を閉じようとする男がある協会の男と契約を結ぶ
主人公ヤスオは臓器提供しその報酬を田舎の両親に送ろうとするのだが…。

話題になりましたよねぇ
この本、著者が俳優の水嶋ヒロ
第5回ポプラ社小説大賞受賞作なんで
出来レースゴーストライターって書かれてたけど
読んでみると・・

そんな言われるようなインチキじゃない
テンポの良さやストーリー展開は映画のシナリオのようで
ページに施した仕掛けやシール補正も巧みで革新的
直木賞っても詰まらない作品が受賞する昨今
十分賞に値する作品。
齋藤智裕の次回作品も期待してます。

さて、本題ですけど
現代日本は毎年、自殺が3万を超える人が自ら亡くなるわけですけど
人が絶望し明日を生きることが出来ないってのは
多様性を認めない風土だったり、心の病気や
敗者と言われる人の復活が難しい社会の仕組みも
その一つかもしれないけど
一番の大事なものは希望を抱くことの出来ない
本人の心にあるのかも知れないね。

作品中に偶然、自分の心臓を移植される
儚き”命”と出逢い
その人の命を考えること
人を想うことで生み出される温かな心
その温かさは自らの心にある希望を齎す

人が人であることに
必要なものって何か?
そんな命の根源を見つめる視線に触れることって
昨今、覆い隠してしまったものが
実際はそこにあるんだって思うんですよね。
自分の死後を考えることもその一つかな・・。

ラストではこれがまた・・素敵な展開があるんだけど
ぜひ!堪能してください。
次回作はいつ出るのかな?