風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『鍵のない夢を見る』 辻村 深月

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日常を生きる人々にふと魔が差す
そんな一瞬の隙間を描いた5篇の短篇集。
第147回直木賞受賞作

何の気ない闇の空間ってありますよね。
言葉の合間だったり
一瞬の表情だったり・・
もしかして誰にでもあるんだと思うと心にズシンと来ました。
辻村さんの汲み取る力はすばらしい。

作品に共通してて
タイトルにある”鍵のない夢を見る”ような感覚。
鍵のない夢・・
心のエアポケットって確かにあるよなぁー
一瞬落ちることって
タイトルが作品を上手く表現してました。

嫁さんも読んだそうですが
あまり面白くなかったそうです。
ラスト何だかモヤモヤするもんな
ハリウッド的なエンターテイメントとは違うラスト
私は好きですけどね・・好みは分かれそうですね。

物語の中に共通する心理
自分を肯定するあまり相手の非を論う愚かさに加えて
悪意無き悪ってのが
無様であり、空恐ろしいかったな。
スケールこそ違えど周りでも居ますよね・・
善意を前面に出しての
別の人にとっては悪しき行い。
そういうのも人の業ですよね。

そんな業に苦しみながらも
人を慈しむ心を忘れないでありたいな。



【収録作品】
・仁志野(にしの)町の泥棒  
・石蕗(つわぶき)南地区の放火 
・美弥谷(みやたに)団地の逃亡者 
・芹葉(せりば)大学の夢と殺人
・君本家の誘拐