いろいろと村上龍さんの作品を読んで来ましたが
いつもと違う感じのタッチの中編作品集。
タイトルと象徴的な言葉を紹介すると
”結婚相談所”
「人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きること」
”空を飛ぶ夢をもう一度”
「生きてさえいれば、またいつか、空を飛ぶ夢を見られるかも知れない」
”キャンピングカー”
「お前には、会社時代の力関係が染みついてるんだよ」
”ペットロス”
「夫婦だからだ。何十年いっしょに暮らしてると思ってるんだ」
”トラベルヘルパー”
「人を、運ぶ。人を、助けながら、運ぶ。何度も、何度も、そう繰り返した」
初老になり定年や離婚、いろんなことからの引退や別れによる否応なしに訪れる変化の時期
それぞれの作品で巧く描かれてて
自分に置き換えるとその局面で妻や自分はどう向き合うのか?
初めて自分は定年ってことを考えました。
看板や役割がなくなりつつ社会の一員であることの意味とは何だろう?
自分はそのプレッシャーや孤独に耐えうるような
強固な関係や基盤を築いているのだろうか?
収録された作品に共通した”絆”についてあとがきに書かれてました。
「その人物が、それぞれの人生で、誰と、どんな関係を築いていきてきたかということだ。」
「「信頼」という言葉と概念を意識して書いた小説ははじめてのことだった。」
と村上龍が書いてました。
なるほど~
腑に落ちるとはこのこと
人生において誰とどんな出会いがあったか?
これって人生に深く関わるテーマですね。
これからの人生を確り生きようと心に刻む作品は心に沁みました。