池井戸花しす、28才。周囲の人間に嫌われないことを気にして常に「癒し」であろうとする毎日。
秘密にICレコーダーで、日常の会話を隠し録るという行為の先には・・。
可愛くほのぼのとした表紙からはイメージ出来ない重いテーマ。
人に嫌われることを極端に避けながら
生きるってのは少なからずあるもんですよね。
それを紐解くように過去と現代を行き来する構成となってるんですが
そこに必ず登場する新田人生って男が出て来ます。
一体、何?なんで何人も??って思ったけども・・
自分を出さない人は他者からみて
印象的ではなく同窓会があったならば
名前を忘れられる筆頭なんじゃないかな?
逆もきっと真。
メタファーとして新田人生があるならば
花しすは他者をうまく認識して何か奥にあるものを共有出来なかったのかも知れないですね。
新田人生がこんな事を言うんですよね。
「みんな自分が好きなんだ。
でも、誰かを愛してるって、強い気持ちがあったら、
その人を傷つけることは怖くなくなるはずなんだ」
人と深く関係性を持つには
それを厭わないってことでですよね。
虎穴に入らずんば・・かな。
そして主人公も語る
「あなたには、言いたいことがたくさんあるはずだ。
そしてそれを言わないでいるのは、その人を傷つけたくないからではなくて
自分が嫌われるのが怖いからだ。」
自分もよく分るなぁ~そんな気持ち。
だけど”ハッ”と気が付くんですよね。
花しすの母が、かつて不意に花しすに向けてつぶやいた言葉が・・
「忘れんといてな」
忘れないように忘れられない人となるには
ICレコーダによってじゃなく
自らの行動で相手に何かを残すこと
それが絆であり
無くてはならない関係に繋がる一歩なんじゃないかな?
数日、気になって考えてたんですが・・
人を恐れずに愛してますか?
そう、突きつけられた気がします。