風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『火口のふたり』 白石 一文

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離婚をし借金を抱え故郷に帰る主人公賢治
故郷、福岡で挙式までの五日間、欲情に身を任せる直子。
出口の見えない、男と女の行き着く先とは?

過去の離婚、失職、破産の危機
自分の招いたこととは言え
元カノと限定された限りある間、性に溺れる
切欠さえあれば誰でも坂道を降るようなことって
ないこともないんじゃないかな?

この諦めに似たこの閉塞感漂う空気って
最近の経済や日本の未来だけじゃなく
歳を重ね少しずつ衰えを見せる体
シャッター通りとなってる地域だったり
希薄になる人間関係
破壊されつつある環境にも
見渡せば遣る瀬無いことは限りなしですよね。

絶望こそしないものの
そんな対岸の事とは思えない
箍ってものがあるのは
社会との関りがあったり
人間関係の微かな命綱なんだろうなぁ・・。

この主人公のように甘美な朽ち方は
魅惑的だとも思える。

こんな台詞があるんですがー
「もうこの先には一歩も進めないような心地に陥った。
これこそが自分が本当に求めていた結末なのだと心のどこかで
喝采を叫んでいたのではなかったか」

分かるなぁー
落ちていく美学。
あぁーそんな自分に恐怖も感じるけど^^;