風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『雨のなまえ』 窪 美澄

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この所、雨がよく降りますね
雨にまつわる五つの短編集でタイトルは

「雨のなまえ」
記録的短時間大雨情報
「雷放電」
「ゆきひら」
「あたたかい雨の降水過程」


どれもエロティックな描写と鋭く研ぎ澄まされた言葉と物語は強いインパクトを残す。
それは今まで読んで来た窪作品に共通してる巧みさがあります。

気になって今
窪さんの名前でブログ内検索(左ウィンドーにある検索)にて検索すると
ふがいない僕は空を見た』 窪美澄
晴天の迷いクジラ』 窪美澄
『アニバーサリー』窪美澄
読んでるんだな。
観るとどれもインパクトのあって記憶してる作品ばかり・・
これらもそうだ。

何が心に深く刻まれるのか?
「雨のなまえ」
では妻が妊娠中に浮気する男
溺れるような快楽と苛立ちを誰かの仕業にする身勝手さ
その描写が短編だけど短編に感じない
ある種の密度の濃さにあるんじゃないだろうか?
そして結びの気の抜けた空気が何とも荒廃した気持ちさせる。

記録的短時間大雨情報

主婦の欲望と介護の現実がまた心に迫り

「雷放電」
妄想と記憶の境界
現実と空想の意識
ー恐ろしく物悲しいい結末

「ゆきひら」
消えない贖罪の意識が引き金となる新たな罪

「あたたかい雨の降水過程」
誰かの仕業、自分じゃないものを悪に仕立て逃れる心

どれもこれも印象的で衝撃的
罪とは何なのか?
正義とは心に何を齎すのか?
摩訶不思議な心の仕組みと支配を目の当たりにします。

この短編に繋がる雨は短編だけじゃないんだ
この自分にも降りかかるものなんだよね。
もうすぐ梅雨ですが
雨はどこにでも降る
そして誰もが立ち尽すと濡れてしまうものですもんね・・。