廃墟を造り続けてきた建築士の話や七階での事件によって七階の撤去を決定する『七階闘争』
蔵を守る話など建物にまつわる空想の不思議な4編の短編小説集。
非現実的な話しですが巧みな設定や表現によって
リアリティを持ちつつ展開される短編は
空想の持つ楽しさクリエイティブの喜びを刺激するもの
リアルな現実に翻弄される日々ですが
時に妄想し現実離れした話が
カタチと重さを持ち、生き生きと展開されることで
自分の心に勝手に線引きされた限界を乗り越えることが出来ますね。
そもそも工業製品であっても
元は空想から生まれるものじゃないかな?
種である空想を辞めてしまったならば
チャンスを逃しそんな寂しいことはないですね。
建物がある意志を持ち
その意思を最後まで全うする姿を描いた「蔵」が私の好みだったな。
『廃墟建築士』の時の経過によって醸成される廃墟こそが
その国の文化的成熟度を表すってのも共感出来る話でしたし
時に真理をフィクションで表現するってのは
現実よりも受け入れやすいものでヒントになりますね。
クリエイティブな空想で膨らむ創造もいいな。