奄美大島で暮らす16歳の界人と杏子
杏子の母イサは難病であり
界人は幼少期に父と別れた
二人の葛藤と苦悩、そして未来は・・。
河瀬直美が最高傑作と自負する作品
人の生と死は誰もが逃げることは叶わず
向かい合うこととなるものですが
否応なく見せつけられる現実の世界
冒頭に島の老人による
山羊の屠畜場面があるんですが
目の当たりにする血に心がざわめくものですね。
人の生は他の生物の死によって
生き長えられるものだと頭では分かってるものの
手を下すシーンはやはりショッキングでもあります。
そんな通過儀礼としての現実との対峙は
人の成長も同じですよね。
親への反発や疑問不安や未来を
島の穏やかな海と荒れた嵐の海の映像
揺れる木々からの木漏れ日の揺り動き
悠久の時間の中では
個人にとっては深く重い不安や受け止めがたい現実も
些細な一瞬の出来事とも思える。
人の生涯も自然の一部と捉え受け入れると
また新たな光が射す
豊かな自然は厳しくも優しいなぁー。