風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『ナイルパーチの女子会』 柚木 麻子

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大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子はブログ繋がりにて交流することとなるが

二人の過去や心情から思いもよらぬ方向に展開する女同士の関係
第28回山本周五郎賞受賞、第153回直木三十五賞候補作品。

女同士の内側って凄まじい心情の嵐ってあるんですね。
何となく分かった気になってる自分には
このリアリティが心に迫るのなんの・・。

いや、女同士でなくとも
人が寄れば心のすれ違いってものがあるものだしなぁ
自分も振り返ると日々その心の機微を感じないことはない日はないほど・・。

このキャリアウーマン・志村栄利子のトラブルが突拍子のないものではないって感じるし
人気主婦ブログガーの翔子にしても
気ままなわけでなく家族や友人のことで心を揺らし葛藤して生きてる様がリアルで細やか
初めて読んだけど柚木さんの力量を感じる作品でした。

さて、前置きが長くなったけど
ナイルパーチとは狂暴な外来種で生態系を破壊するほどの破壊力
人間関係もその生態系の繰り返しなのかも知れないですね。

人が人に接する多くの場合
その人の背景まで考えずに接しますけど
実は分かって貰いたいって心と現実の関係とのギャップ
人の背負った宿命とも言える不幸の連鎖の仕組み

だけども絶望することなく
人は明日を生きて行き
新たな出会いに希望を持つものかも・・。


最後に人間関係がどんな結末を得ようとも
それを糧にする貪欲さこそ
生き残る種となるのだろうねぇ。

生態系が変わろうとも生き残る術は
客観的な思考、理性と知性が程よく必要なんだよなぁ。

例えるならば
意識すると普通に歩いてるのに歩くことがぎこちなくなりそうな話。
人間社会って妙なものですね。