風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『たった、それだけ』  宮下 奈都

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望月正幸は、贈賄行為に携わっり
告発され行方不明となる。

正幸の妻、娘、姉など残された者たちのその後
普段にニュースにて知る断片的な事実


勝手な想像で自分の心からは消え去るけど
この物語のように背景や関係者から
正幸とはどんな人間だったのか?


深く考える機会があると
人々の記憶からは消えるよくあるようなニュースにも
重過ぎる物語りが存在するものですよね。


娘のその後や妻の壊れた人生は
題名の「たった、それだけ」では伝わらない人の弱さが
隙間風のように自分の弱い部分に吹き抜ける。


その影響を想像すると

人の関わりは計算出来ないような
運命としか言うしかない複雑さ
その集大成が今の自分である事実。

連作短編で浮き彫りになる人の業が
巧みに表現されて心に残る作品でした。