望月正幸は、贈賄行為に携わっり
告発され行方不明となる。
正幸の妻、娘、姉など残された者たちのその後
普段にニュースにて知る断片的な事実
勝手な想像で自分の心からは消え去るけど
この物語のように背景や関係者から
正幸とはどんな人間だったのか?
深く考える機会があると
人々の記憶からは消えるよくあるようなニュースにも
重過ぎる物語りが存在するものですよね。
娘のその後や妻の壊れた人生は
題名の「たった、それだけ」では伝わらない人の弱さが
隙間風のように自分の弱い部分に吹き抜ける。
その影響を想像すると
人の関わりは計算出来ないような
運命としか言うしかない複雑さ
その集大成が今の自分である事実。
連作短編で浮き彫りになる人の業が
巧みに表現されて心に残る作品でした。