風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『窓の向こうのガーシュウィン』 宮下 奈都

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ばらばらの父母、耳の雑音、同級生との関係も築けず育ってきた主人公
ヘルパーの仕事先で額装の仕事に出会いー。

人知れず心を守り、傷付かないように生きて来た日々
例えるならば小さな船が音もなく、どこかの港に物を運ぶような
確実に存在するけど目立たずに粛々と暮らす。 
何だか分かるなそんな暮らし 

ちいさな存在のひとつである私も
それぞれの人間関係の中で
心の穴の空間を埋める何かあったり
そこに新たな風を送ったり
空間を温めたりいろんな関係がありますが
そんな日々が人生の次へ繋がるんですね。

ガーシュウィンの「サマータイム」が幾度も出てくるんですが
私も好きなジャズスタンダード。
あの美しいメロディとその歌詞にある状況
実は裏腹な現状が安らかに眠るように夢見る点においては
素敵なんじゃないか?とさえ思えるなぁ

そして窓の向こうに見える額装
素敵なハートがないと人の心を動かす額装は出来ないですもんね。

サマータイム」の歌詞にある
羽ばたき成長する姿を想像すると
心を温かく優しい気持ちにさせてくれる。

静かでささやかで温かい物語。