ばらばらの父母、耳の雑音、同級生との関係も築けず育ってきた主人公
ヘルパーの仕事先で額装の仕事に出会いー。
人知れず心を守り、傷付かないように生きて来た日々
例えるならば小さな船が音もなく、どこかの港に物を運ぶような
確実に存在するけど目立たずに粛々と暮らす。
何だか分かるなそんな暮らし
ちいさな存在のひとつである私も
それぞれの人間関係の中で
心の穴の空間を埋める何かあったり
そこに新たな風を送ったり
空間を温めたりいろんな関係がありますが
そんな日々が人生の次へ繋がるんですね。
ガーシュウィンの「サマータイム」が幾度も出てくるんですが
私も好きなジャズスタンダード。
あの美しいメロディとその歌詞にある状況
実は裏腹な現状が安らかに眠るように夢見る点においては
素敵なんじゃないか?とさえ思えるなぁ
そして窓の向こうに見える額装
素敵なハートがないと人の心を動かす額装は出来ないですもんね。
「サマータイム」の歌詞にある
羽ばたき成長する姿を想像すると
心を温かく優しい気持ちにさせてくれる。
静かでささやかで温かい物語。