太平の世を生きる武家の男達の日常。
「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」六篇を収録。
第154回直木賞受賞作。
武士と言えば戦国の乱世や幕末の動乱
立身出世を願う男や志の為に散る物語が多いけど
この物語は太平の世となり
武士は官僚となり隠居し余生を送る主人公
男の哀愁と女の現実を描き
その機微の中にある陽だまりのような”ぽっこり”がある
年老いた男同士の”間”
長い間の間を埋める会話や静の中に
お互いの心使いを感じるのが
この作品の素晴らしい美点。
そこには今と変わらない”人”としての哀愁を感じ
”ほっ”とする世界の哀愁に浸る作品もいいもんですね。