風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『マチネの終わりに』 平野 啓一郎

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ギタリスト蒔野と通信社記者洋子
深く愛し合いながらすれ違う二人
再び巡り会うことは出来るのか!?

引き寄せられる運命のように出会ってしまった二人
しかし掛け違ったボタンのように
誤解を解く事もなく破局に向かう未来。

切なく大人のラブストーリーは静かに深く
時が流れる感じと美しい文章でその世界に浸る時間は至福。

何度か繰り返し出て来る過去についての言葉が印象的でした。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。
 だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。
 変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。
 過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

この言葉が心の芯に刺さったなぁ~

振り返る自分の歴史
人と出会い切なき出会いと後悔のある別れを考えると
それが良いものなのか?不幸なのか?は
今の自分がどう捉えるかに大きく変わりますよね。

この物語の素敵なのは
それぞれの心の在り処と刻んだ年月が腑に落ち
祈った二人の未来

そこへ至る人生には理由があるわけで
過去への解釈と繋がり
薄っすらと儚く、一本の線となる物語

未来も過去も変わるのです。
素敵な恋愛は人生には必要ですね。