昭和の大事件「グリコ・森永事件」をベースに書かれた推察と結論の仮説物語。
「週刊文春」ミステリーベスト10 2016国内部門第1位!
第7回山田風太郎賞受賞作。
記憶に残る大事件を読みながら整理すると・・
社長の誘拐から菓子に毒物を混入し企業を脅迫し
身代金取引の電話では子供の声を使い
「かい人21面相」を名乗った挑戦状を送る。
まるで映画のような派手な事件でしたが事実
それも捕まることもなく時効へ
小説の元となりえる裏を推察したくなるような要素がある事件。
この小説の仮説がやたらとリアルで
これが事実で真実ではないだろうかと思ったりする。
設定では企画された新聞社の取材に駆り出された記者と
「身代金取引の声」が幼少期の自分の声であることに気付いた男が交互に真相に迫る流れ
読者は彼らの動き情報を受け取り
また自分でこの謎を推察し、この物語のひとりとして自分も迷宮に迷い込む。
このプロセスのように読んでて引き込まれるのも心地よいものだったと再確認。
あの謎で終わった「グリコ森事件」の謎ですが
自分の中で解決するカタルシスは心地よしー。
あの事件の多くの謎を語りスッキリとカタルシスを味わいたいならばお勧め作品。