こよみとは事故に遭ってしまい新しい記憶を留めておけない。
そんなこよみと共に行助は生きる・・。
文學界新人賞に佳作作品。
宮下奈都の新作かと思って読んだのですが二〇〇四年に書かれたデビュー作なんですね。
最初の作品から私の好きな宮下奈都の世界観に満たされた作品で
素敵な核になるようなものに触れたような貴重な感覚。
こよみさんの話す短い会話の中にも人柄溢れ
文字から美しき笑顔がそこにあるように感じる。
そんな日々を素敵に生き
それを共にしたいって行助の心も分かるし
行助の家族のエピソードも素敵な関係だな
人が生きるって何の為に生きてるのか?
年月を重ね幸せの蓄積となる記憶が失われても覚えてる自分が居る
二人の世界が永遠に消え去る分けではない。
愛って相手の全てを受け入れることだと「ある男」の時に書いたけど
今回も愛ってそういうことじゃないかなって思うな。
誰がどうであっても共に・・。
心揺さぶられる素敵な作品。