長曾我部元親を描いたこの『夏草の賦』
やっぱ司馬遼は年数回は読まないといけませんね。
天下布武を思い胸躍らせるこのロマン・・。
戦国の世に生きたそれぞれの人生
儚くも美しいのはなぜか?
戦国の世も汚い政治的な謀略
嘘、裏切りの連続ですが
なぜか心清々しい
元親が言う
「天の意思に善悪はない。それを善にするのが人である。
自分も天の意思によって天下を平定し
わが意志をもってそれを善きものにしたい」
建前でも志が私欲じゃないからなんじゃないかなぁ?
この中でも登場人物がそれぞれの立場でその思いが交錯する
元親との約束を反故にして裏切りの信長へ
明智光秀が心でつぶやく・・。
「信長の申されること
理にあらず
義にあらず
ただおのれの我欲を
満たさんがためのみ」
「天地人」みたいですが秀光も秀光ならではの筋道があるんですよね。
そんな登場人物が戦国の中で切磋琢磨しながら天下に名を轟かせる。
この力強さとが書かれてるばかりじゃなく
悩みながらも戦う元親の姿も描かれてますし
司馬遼の表現力なんでしょうねぇ。
この登場人物の潔い生き方は現代に自分にと
問い掛けてるんですよね。
がんばろう・・。そんな思いが湧き起こる上巻から
下巻は晩年の元親
秀吉に屈する形で配下に入りますが
夢を失い、領地を失い、島津と戦いで子を失い
情熱をも失った元親の失意の末路。
長く生きる事が人生の目的ではない
どう情熱を持って生きるかですよねぇ・・。
一人の男の生き様に思いを馳せるのもいいものです。