風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

#小説

『銀河鉄道の父』 門井慶喜

宮沢賢治を育てた父、政次郎や宮沢家の人々との関係から賢治がいかしにて知られる息子賢治となったのか・・。生涯を見守り続けた父の視点で描く第158回直木賞受賞作 教科書に掲載されてる宮沢賢治となるまでには宮沢家族の関係から育まれた奇跡だなぁ~ 稼業…

『AMEBIC』 金原ひとみ

摂食障害の女性ライターは社会や彼氏とも不安定な状態徐々に不安定を増す精神状態の時に書く「錯文」。乱れた囚われの心の先には・・。 先週読んだ食べ物を美味しく頂く物語との対比真逆なような話ですが食べ物を意味する人間関係の距離は同じような気がしま…

『おいしいごはんが食べられますように』 高瀬隼子

職場の同僚で考えの違う登場人物達人間関係を食べものを通して見えて来るものとは・・。第167回芥川賞受賞作品 誰もが日々食事をするけども食べる事への考えは違うものですね。幸福と同じでそれぞれの向き合い方が如実に表れてるのかなー 食を通して他人と繋…

『夜に星を放つ』 窪美澄

それぞれの物語は星の話で繋がる5編「真夜中のアボカド」「銀紙色のアンタレス」「真珠星スピカ」「湿りの海」「星の随に」第167回直木賞を受賞した短編集 切なくも儚くも生きる人々の物語はまるで星のごとく揺らぎ瞬く 人と暮らすことは時に傷き完治するこ…

『残月記』 小田雅久仁

月に囚われる、月の裏や月に纏わる物語に想像を掻き立てられる「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」の3篇の物語吉川英治文学新人賞日本SF大賞 「そして月がふりかえる」怪しげな月に心捉われた後に別世界が・・月の魔力なのか?この世界から別の世…

『元彼の遺言状』 新川帆立

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」と遺言状を残して御曹司・森川栄治が亡くなる。元カノの弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として参加することに・・。しかし遺書が保管されていた金庫が盗まれたり、顧問弁護士が何者かに…

『星を掬う』 町田そのこ

母と娘の強烈な別れと時を隔てた再会それぞれの想いとは裏腹な空白の時間と千鶴、聖子、彩子、恵真4人の母娘の共同生活はどこへ向かうのか・・。 私も幾つになっても親との想いの違いから多少の軋轢もあったりする日常 私も幼少期の事を思い出すと確かに多大…

『君は月夜に光り輝く』 佐野徹夜

高校生の卓也のクラスメイトの渡良瀬まみずは「発光病」で余命わずかと言う死ぬまでにしたいことがあると知り、それを手伝うことに・・。第23回電撃小説大賞 大賞作品 全ての人の避けては通れない死そこにいずれ直面してしまう人という存在。 時にはそういう…

『#真相をお話しします』 結城真一郎

犯罪とその真相を明らかにする構造の短編集家庭教師が家族の異変に気付く・・。「惨者面談」精子提供によって生まれた子供が現れ・・。「パンドラ」過疎の島でYouTubeerになるも事件が起こり・・。「#拡散希望」アプリで知り合うも実は目的は・・・「ヤリモ…

『残りものには、過去がある』 中江有里

披露宴会場に居合わせた人達の想いそれぞれに幸せと誓いを胸に会場を訪れる。連作短編集。 幸せのカタチって様々ですが願いと現実の中で何故、こうなってしまうのかって頭を抱えること多いですよね それでも生きて行くし、幸せを願う日々 誰かの為に生きたい…

『正欲』 朝井リョウ

三人が、視点を変えて登場し、それぞれの信じる正義「多様性」の言葉の裏にある真理って何だろう?第19回 本屋大賞ノミネート!【第34回柴田錬三郎賞受賞作】 「誰もが認められる社会」と口当たりのよい言葉の裏にある現実LGBTなどマイノリティに対する心理っ…

『夜の道標』 芦沢央

塾の経営者が殺害され、被疑者となった教え子2年間匿う女性、執念で捜査をする刑事父親から当たり屋をさせられる少年と親友それぞれの想いと結末は・・。 まさにそれぞれの人生は”夜の道標”ですね。突然闇に浮かぶ道しるべを信じるべきなのか?どう解釈すべ…

『世にも奇妙な君物語』 朝井リョウ

テレビドラマの「世にも奇妙な物語」フリークだと言う朝井リョウさんドラマへ書き下ろしたような短編を五編を収録。1 シェアハウさない 2リア充裁判3 立て! 金次郎4 13.5文字しか集中して読めな5 脇役バトルロワイアル なかなか世にも奇妙な物語を想定してる…

『52ヘルツのクジラたち』 町田そのこ

伝えられない想い。家族との関係で傷ついた貴瑚と支えようとしたアンさん、母親に虐待さたイツクシ。52ヘルツのクジラの声のようだった・・。 生きて行くのに最も大事なことって何だろう? きっと愛なんじゃないかな。作品の中にはいろんな愛がありましたが …

『家康、江戸を建てる』 門井慶喜

関東を手中に収めようとする関白:豊臣秀吉は徳川家康に湿地の広がる広大な土地と領地替えの話をする。家康は受け入れ、その後天下人となる家康の江戸開発プロジェクトが始まる。 全5編で構成され目次から紹介すると第一話 流れを変える 第二話 金貨を延べる…

『ブラックボックス』 砂川文次

自衛隊を辞め、自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマはずっと遠くに行きたいと思っている。不意に衝動にまたも襲われ・・。第166回芥川賞受賞作。 日常を繰り返せるタフさってあるんだと再認識する。本文に「・・・どれもこれもが明け透けに見えて…

『顔のない裸体たち』 平野啓一郎

ネットで知り合った、教師の吉田希美子と公務員の片原盈。 ミッキーとミッチーの匿名でSNSに顔のない裸体の写真や動画をUPし人気になるが・・。 SNSにアップされる素人の裸の数々裏にはこんな背景のパターンもあるんじゃないかなと感じさせる。 普段の生活で…

『野良犬の値段』 百田尚樹

誘拐された6人のホームレスの身代金を要求された企業と裏に隠された動機日本社会に問われる本音と正義。 それぞれの秘めた滑稽な正義思想ではなく、部数で語る新聞報道経営者だったり自分のパフォーマンスに偏った議員だったり批判しかしない元芸能人議員へ…

『琥珀の夏』 辻村深月

弁護士の法子は嘗てミライの学校の夏合宿に参加した。そのミライの学校の敷地から発見された白骨死体。ミライの学校で友達と言ってくれる少女と夏合宿の思い出が蘇る。真相とは・・。無数の出会いの中で何かを選択しその積み重ねで創られる人生と言うもの夏…

『推し、燃ゆ』 宇佐見りん

「やめるときも健やかなるときも推しを推す」あかりそんな日々、「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」炎上する推しにあかりの人生は・・。第164回芥川賞受賞作誰もが何かを情熱を傾け生きてると思うのですが推す存在が全てのあかり日々ちょっと違うのは…

『ふちなしのかがみ』 辻村深月

「踊り場の花子」、「ブランコをこぐ足」、「おとうさん、したいがあるよ」「ふちなしのかがみ」、「八月の天変地異」の5編が収録されたホラー短編集。学校の怪談と言えばトイレの花子さんこれも辻村深月さんにかかれば「踊り場の花子」は見事なミステリーの…

『みとりねこ』 有川ひろ

猫と暮らす日々、思い出が溢れる7編の物語。「ハチジカン」、「こぼれたび」、「猫の島」、「トムめ」「シュレーディンガーの猫」、「粉飾決算」、「みとりねこ」収録。タイトルに惹かれて読んだんですが猫が登場するだけでもテンション上がる猫好きには心を…

2021年 読書アワード!

昨日は映画アワードでしたが今日は2021年の読書総決算、アワード。今年読んだ51冊から勝手にアワードさて、最初はー。 ベストドキュメンタリー賞:『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』 堀川惠子戦争遂行にあって大事な物流の輸送は現代へ繋がる歴史に…

『幸福な結末』  辻仁成

角膜移植で光を取り戻したヴァレリーアジア系の幻を見るようになる嘗て見つめていた人物なのだろうか?人を愛するとは何なのか?どんな残酷な事であっても全てを受け入れることが愛なのだろうか?人生で偽ることの出来ない愛の核心。その答えは人を幸福にする…

『何もかも憂鬱な夜に』 中村文則

施設で育った刑務官の主人公が二人を刺殺した未決囚・山井を担当する。そこで語る自分の人生と命の向かう先とは・・。生きる意味に虚ろな日々死を考えるような遣る瀬無さ先日も二人を殺害し放火したかも知れない容疑者が逮捕されてましたよね特別じゃなく霧…

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ

キム・ジヨンの人生に立ちはだかる見えない壁女性ならではの困難と差別とは・・。韓国で100万部突破し社会現象を巻き起こしたした小説。女性が社会に主張するようになったと思ってる自分には衝撃的。確かに序列を重んじる価値観の中で見えない壁ってあるのは…

『砂の女』 安部公房

昆虫採集に向かうも囲まれた奇妙な家に閉じ込められ脱出を試みもがく日々の先にあるものは・・。20数ヶ国語に翻訳。読売文学賞受賞作。押し寄せる大量の砂リアルで息苦しくなるような空間読書の醍醐味と言いますか異空間に確りと引き込まれました。読書後、…

『自転車少年記―あの風の中へ』 竹内真

初めて漕いだ自転車の感動の日から仲間と共に漕いだ道のりは人の親となっても暮らしと共に語る自転車乗り物語。読んでてコロ無しに初めて乗った自転車のあの気持ちが蘇る。そう言えば自分もまさに小学生の頃、橋を超えただけでどこか誇らしい気持ちになった…

『JR上野駅公園口』 柳美里

1964年東京オリンピック前年に出稼ぎで上野に降り立つ日本の経済成長と故郷と家族を失いホームレスとなった男彼の生涯を通して、見えて来る世界とは・・。全米図書賞(National Book Award 翻訳文学部門)を受賞作品右肩上がりの高度経済成長を支えた金の卵…

『犬がいた季節』  伊吹有喜

学校で飼うこととなった一匹の迷い犬のコウシロウを世話し卒業生する面々と当時の流行りやニュースこの場所に流れた時間を胸に共に生きる。連作短編。この時期に多くのことに悩みその悩みぬいた先にある決断や残された想いを胸に生きて行くんですよね何だか…