風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

#小説

『赤と青とエスキース』 青山美智子

エスキースと名付けられた絵は世界と時間を経て赤と青、エスキースが奇跡のように結び付く。2022年本屋大賞 第2位 素晴らしいなぁ~!次々に結び付く物語エスキースを通じて様々な人々の姿が描かれてて時に熱情熱的であり、冷静であり、癒しでもある。絵の完…

『あなたに大切な香りの記憶はありますか?』 阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、重松清、朱川湊人、高樹のぶ子

人気作家8人による「記憶の中の忘れがたい香り」をテーマに書かれた短編集。 記憶と香りって関連性があるもので様々な設定やお話ですが物語に香りを感じるお話は読んでてノスタルジーを感じます。 読者も似たような経験から出て来る香りを想像して物語を香り…

『しろがねの葉』 千早茜

少女ウメは命辛々で石見銀山に辿り着く。銀山の山師喜兵衛に拾われ石見で暮らすことに彼女の人生は銀山の人々と共に翻弄される・・。第168回直木賞受賞作 厳しい試練の中で辛い別れをを経ても人は生きるのは何故なのか? 亡くなった人々を想い絶望の中からも…

『オルタネート』 加藤シゲアキ

部活で料理コンテストに挑む蓉(いるる)。高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、音楽家の集うシェアハウスに居る尚志(なおし)。それぞれ向かう未来は・・。『ダ・ヴィンチ』BOOK OF THE YEAR 2021 小説ランキング1…

『赤い月の香り』 千早茜 

調香師:小川朔は香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。人々の欲望を「香り」に変える天才の下に朝倉満をスタッフとして勧誘する満を仕事に誘った理由とは・・。 人の記憶と香り見え無い様で確かに人は香りを纏い人は生きている。 生き様を…

『君のクイズ』 小川哲

TV番組『Q-1グランプリ』決勝戦で三島玲央の対戦相手・本庄絆が問題が読まれぬうちに回答し正解した。騒ぎになるクイズ界、これはやらせなのか?辿り着いた真相とは・・。 クイズって知識を争うものかと浅はかに思ってましたが勝つ為には問題が読み終わる前…

『家族シアター』 辻村深月

「家族」というテーマで描かれた7つの短編小説(1)「妹」という祝福(2)サイリウム(3)私のディアマンテ(4)タイムカプセルの八年(5)1992年の秋空(6)孫と誕生会(7)タマシイム・マシンの永遠 閉ざされた世界でありながらもそれぞれの立場や時代によって真剣に悩み…

『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬

1942年、独ソ戦に巻き込まれセラフィマの人生は一変する。イリーナ教官を務める訓練学校で復讐の為に狙撃兵になることを決意し・・。仲間たちの死を乗り越えどう生きるのか・・。第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞 何もかも失い生きることも失いかけた時…

『君が夏を走らせる』 瀬尾まいこ

不良少年、大田が先輩の娘である鈴香の子守りをすることに・・。彼の夏休みと鈴香の成長は・・。 子供に限らず人と関わりを持ち面倒な事を経て深められるものって経験しないと培われないものなんですよね。 生きるってそういうことの連続面倒、ため息が出る…

『傑作はまだ』 瀬尾まいこ

引きこもりの作家の加賀野の元へ 生まれてから一度も会ったことのない息子・智が突然訪ねてきた。そんな二人の生活が始まる・・・。父と子の物語。 分かるなぁ・・ある時から人との関わるが煩わしいと思い始めそんな気持ちとは裏腹に辛うじて社会性を保つ自…

『爆弾』 呉勝浩

容疑者:スズキタゴサクが野方署に連行され、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言。都民1400万人を人質にとる無差別爆破テの始りだった。容疑者と思しき中年男が出す“クイズ”に翻弄され・・・。「このミステリーがすごい! 2023年版」:…

『プラナリア』 山本文緒

5編の短編・プラナリア・ネイキッド・どこかでないここ・囚われ人のジレンマ・あいあるあした収録された作品集生きづらさや問題を抱えながら生きる人々の姿・・。 人間の些細な違和感や引っ掛かることがリアルで心に刺さる。 つい言わなくてもいいのに言って…

『銀河鉄道の父』 門井慶喜

宮沢賢治を育てた父、政次郎や宮沢家の人々との関係から賢治がいかしにて知られる息子賢治となったのか・・。生涯を見守り続けた父の視点で描く第158回直木賞受賞作 教科書に掲載されてる宮沢賢治となるまでには宮沢家族の関係から育まれた奇跡だなぁ~ 稼業…

『AMEBIC』 金原ひとみ

摂食障害の女性ライターは社会や彼氏とも不安定な状態徐々に不安定を増す精神状態の時に書く「錯文」。乱れた囚われの心の先には・・。 先週読んだ食べ物を美味しく頂く物語との対比真逆なような話ですが食べ物を意味する人間関係の距離は同じような気がしま…

『おいしいごはんが食べられますように』 高瀬隼子

職場の同僚で考えの違う登場人物達人間関係を食べものを通して見えて来るものとは・・。第167回芥川賞受賞作品 誰もが日々食事をするけども食べる事への考えは違うものですね。幸福と同じでそれぞれの向き合い方が如実に表れてるのかなー 食を通して他人と繋…

『夜に星を放つ』 窪美澄

それぞれの物語は星の話で繋がる5編「真夜中のアボカド」「銀紙色のアンタレス」「真珠星スピカ」「湿りの海」「星の随に」第167回直木賞を受賞した短編集 切なくも儚くも生きる人々の物語はまるで星のごとく揺らぎ瞬く 人と暮らすことは時に傷き完治するこ…

『残月記』 小田雅久仁

月に囚われる、月の裏や月に纏わる物語に想像を掻き立てられる「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」の3篇の物語吉川英治文学新人賞日本SF大賞 「そして月がふりかえる」怪しげな月に心捉われた後に別世界が・・月の魔力なのか?この世界から別の世…

『元彼の遺言状』 新川帆立

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」と遺言状を残して御曹司・森川栄治が亡くなる。元カノの弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として参加することに・・。しかし遺書が保管されていた金庫が盗まれたり、顧問弁護士が何者かに…

『星を掬う』 町田そのこ

母と娘の強烈な別れと時を隔てた再会それぞれの想いとは裏腹な空白の時間と千鶴、聖子、彩子、恵真4人の母娘の共同生活はどこへ向かうのか・・。 私も幾つになっても親との想いの違いから多少の軋轢もあったりする日常 私も幼少期の事を思い出すと確かに多大…

『君は月夜に光り輝く』 佐野徹夜

高校生の卓也のクラスメイトの渡良瀬まみずは「発光病」で余命わずかと言う死ぬまでにしたいことがあると知り、それを手伝うことに・・。第23回電撃小説大賞 大賞作品 全ての人の避けては通れない死そこにいずれ直面してしまう人という存在。 時にはそういう…

『#真相をお話しします』 結城真一郎

犯罪とその真相を明らかにする構造の短編集家庭教師が家族の異変に気付く・・。「惨者面談」精子提供によって生まれた子供が現れ・・。「パンドラ」過疎の島でYouTubeerになるも事件が起こり・・。「#拡散希望」アプリで知り合うも実は目的は・・・「ヤリモ…

『残りものには、過去がある』 中江有里

披露宴会場に居合わせた人達の想いそれぞれに幸せと誓いを胸に会場を訪れる。連作短編集。 幸せのカタチって様々ですが願いと現実の中で何故、こうなってしまうのかって頭を抱えること多いですよね それでも生きて行くし、幸せを願う日々 誰かの為に生きたい…

『正欲』 朝井リョウ

三人が、視点を変えて登場し、それぞれの信じる正義「多様性」の言葉の裏にある真理って何だろう?第19回 本屋大賞ノミネート!【第34回柴田錬三郎賞受賞作】 「誰もが認められる社会」と口当たりのよい言葉の裏にある現実LGBTなどマイノリティに対する心理っ…

『夜の道標』 芦沢央

塾の経営者が殺害され、被疑者となった教え子2年間匿う女性、執念で捜査をする刑事父親から当たり屋をさせられる少年と親友それぞれの想いと結末は・・。 まさにそれぞれの人生は”夜の道標”ですね。突然闇に浮かぶ道しるべを信じるべきなのか?どう解釈すべ…

『世にも奇妙な君物語』 朝井リョウ

テレビドラマの「世にも奇妙な物語」フリークだと言う朝井リョウさんドラマへ書き下ろしたような短編を五編を収録。1 シェアハウさない 2リア充裁判3 立て! 金次郎4 13.5文字しか集中して読めな5 脇役バトルロワイアル なかなか世にも奇妙な物語を想定してる…

『52ヘルツのクジラたち』 町田そのこ

伝えられない想い。家族との関係で傷ついた貴瑚と支えようとしたアンさん、母親に虐待さたイツクシ。52ヘルツのクジラの声のようだった・・。 生きて行くのに最も大事なことって何だろう? きっと愛なんじゃないかな。作品の中にはいろんな愛がありましたが …

『家康、江戸を建てる』 門井慶喜

関東を手中に収めようとする関白:豊臣秀吉は徳川家康に湿地の広がる広大な土地と領地替えの話をする。家康は受け入れ、その後天下人となる家康の江戸開発プロジェクトが始まる。 全5編で構成され目次から紹介すると第一話 流れを変える 第二話 金貨を延べる…

『ブラックボックス』 砂川文次

自衛隊を辞め、自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマはずっと遠くに行きたいと思っている。不意に衝動にまたも襲われ・・。第166回芥川賞受賞作。 日常を繰り返せるタフさってあるんだと再認識する。本文に「・・・どれもこれもが明け透けに見えて…

『顔のない裸体たち』 平野啓一郎

ネットで知り合った、教師の吉田希美子と公務員の片原盈。 ミッキーとミッチーの匿名でSNSに顔のない裸体の写真や動画をUPし人気になるが・・。 SNSにアップされる素人の裸の数々裏にはこんな背景のパターンもあるんじゃないかなと感じさせる。 普段の生活で…

『野良犬の値段』 百田尚樹

誘拐された6人のホームレスの身代金を要求された企業と裏に隠された動機日本社会に問われる本音と正義。 それぞれの秘めた滑稽な正義思想ではなく、部数で語る新聞報道経営者だったり自分のパフォーマンスに偏った議員だったり批判しかしない元芸能人議員へ…