風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『残月記』 小田雅久仁

月に囚われる、月の裏や月に纏わる物語に想像を掻き立てられる
「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」の3篇の物語
吉川英治文学新人賞
日本SF大賞
 
「そして月がふりかえる」
怪しげな月に心捉われた後に別世界が・・
月の魔力なのか?この世界から別の世界へ迷い込む
終わる時の見えない世の恐怖は異次元なのにリアルに感じる
実は私も怪しい月の時に
少しずれた世界に行くことになるかもって思ってしまう・・・。
 
「月景石」
叔母の形見の石。枕の下に入れて眠ると月に行けると言う
夢が恐ろしく現実的ではっと目覚めるってありますよね
それが石の力に魅かれるとかありそうな、面白そうな怪しい力・・
時空間を超えてある世界に心が彷徨う物語でした。
 
「残月記」
圧倒的な荒涼艦と圧迫感の中で生きる力と愛の力
想う強さと長さはそんな荒んだ世界の中でも人を救う。
読み終えた後もシーンを思い浮かべてしまう
私も心を物語と月に翻弄されたのかも知れない。
 
3篇ともに月の持つ怪しくも美しく
謎も愁いも込められた美しくも心に刻まれる
月を見上げて世界を想像したくなる物語。