風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『ハードボイルド/ハードラック』吉本ばなな

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ハードボイルド/ハードラックの2編からなる本
いつもとは違う雰囲気の「ハードボイルド」
日本ホラー映画独特のあの重い空気と表現すればいいだろうか?
得体のしれないけだるさを醸し出し
息苦しいほどの酸素濃度
霞んでしまいそうな視界
肌がネットリしそうな湿気
何て表現すればいいのかな?
短い短編ですが
そこには魂がこもってるからなのかな?
表現力の素晴らしさ巧みさに加えて感性の感度のよさには
いつもながら舌を巻きます。
「だれかにとってなんでもないことでも、他の誰かにとっては死に等しいほど
つらいということもある」って文章があったけど
それぞれの背負ったものの重さに
考えが巡って気が重くなったりするけど
しかし生きてて太陽が昇り
否応なしに明日は来る日常
自分もそんな日常を重ねてしまいました。
作品に通じる生と死への思いが木の年輪のように
静かに心の深くに音もなく積もる気がします。
日常生活の中で忘れてしまいそうなそんな事でも
その積もったものを心から引揚げる時がある
そんな心の真に訴える作品。