風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

「赤目四十八瀧心中未遂」

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今日も雨。
こんな中で真夜中に鑑賞したこの作品の持つ
陰鬱なエネルギーは自分の心を包んでしまった。
この主人公は世を棄てこの街へとたどり着く。
仕事内容にも報酬にも目もくれずにひたすら串をさす日々と
怪しげな下町の人々の日々は自分と違い奇異に感じるが
そんな時が自分にもあったと思い起す。
健康な時に病気などなかったかの様な感じと言えばいいかなぁ。
ひどく心を痛めて自棄になったり酒におぼれるなんて
ちょっとした違いなんですよね。何かでそうなるって事あると思います。
そう思ってこの世界観に浸ると見えて来るものなんですよね。
そんな時、綾に「この世の外へ連れてって」って言われると
一緒に生と死をさまよったかも・・・。
出て来る人間は正直に人生に向き合ってる。
決して妥協して仕事したりしてないんですよね。
心に忠実に生きる事は大変な事で皆、器用に帳尻を合わせてるんですよね。
この作品に流れる気分ってフリーターやニートも通じるのかな?
生きる為には死なないだけではなく
理由が必要なのだろう。

<参考>
車谷長吉直木賞受賞作『赤目四十八瀧心中未遂
生島与一は人生に絶望し尼崎に流れ着いた。
焼鳥屋の女主人・勢子ねえさんに古いアパートの一室を世話された与一は
来る日も来る日もそこでひたすらに臓物を捌き、串にモツを刺して暮らしていた。
そんな与一の前に、ある日、同じアパートに住む女・綾が現われる。
綾の“この世の外へ連れてって”というひと言に誘われて死出の旅路へと向かい
赤目四十八瀧を登っていく…。