風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『i(アイ) 』  西 加奈子

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シリアで生まれの少女アイは、アメリカでダニエルと綾子夫婦の養子となり
恵まれた暮らしの中にあっても何か違和感を感じる。
そんな中で数学教師の「この世界にアイは存在しません。」という言葉に衝撃を受け・・。

血で繋がったものでない家族の豊かな暮らしの中で

違和感や落ち着かない気分も分からなくもないな。

数学教師の言う「i」は 英語で言うimaginary numberのi
虚数単位の「 i 」ですがこのような数は現実には存在しない
同じアイと名付けられたものに
衝撃を受けてこの言葉が随所に出て来て
その時々に問う自分の存在理由。

私も振り返るとほぼ不自由なく育った中でも
自分のアイデンティティを問うことってありますよね。
いや、今でもあるけど・・。


アイはテロや震災の犠牲者をノートに記録するのですが
数日前にもイギリスのライブ会場近くでテロがあり

数日後インドネシアでもテロが発生。 
先日はアフガニスタンで日本人が負傷を負う。

テロ行為は留まることなく悲劇は続く
日本で身近な死を感じると
その本人に関連した家族の悲しみを想像する。

しかし数が数百になった時に
どれぐらいのリアリティを重みを持って
それを考えることが出来るだろうか?

アイの親友の美菜からの手紙は泣けたなぁ
その中にある人を思いやる気持ち

違った立場で見つめる親
結婚相手の裕

それぞれの愛があって
アイは再び歩き出す。

人は想像力を持って
他者を愛することでより深く人を愛せるのだ。