芥川賞の受賞者インタビューで物議を醸した田中慎弥さんですが
内容はオーソドックスな純文学的な色彩。
父親を嫌悪する高校生が自分に流れる父の血を恐怖するというお話ですが
何とも鬱積したことが
体中に駆け巡り爆発しそうな気持ちって
高校ぐらいだと誰しもがあって共感するお話なんじゃないかな
特に親父を理解することは
歳とらないと生まれない感情であり未だに理解し難く
憤慨する事象ってよくあります
しかしながら作品にあるように
親父の嫌悪してる部分とそっくりな立ち振る舞いをしてる弟を見たりすると
自身でも似通った部分を持ち合わせているものなのかと
ぞっとしたりして・・。
感情の奥に潜む事実からは
一生逃れられないもの
多感な時代に深く刺さった棘
棘は抜けることがあっても
傷は今も傷跡を残すものかもしれないね。
そんな古傷をふと確認したくなる作品。