風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『生きる』

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黒澤明の名作。
市役所の市民課長・渡辺勘治30年間無欠勤という役人が
自分が胃ガンで余命いくばくもないことを知る。
渡辺は人が本当に生きるということの意味を考え始め・・・って話。

現在の町並みは綺麗になったし小奇麗に着飾った人々が闊歩するけど
1952年の作品ながら
人の本質は変わらないなぁ・・なんてシミジミ思う
その変わらないものって
人の生き死にだけじゃなくて
所謂”役所仕事”って60年も前からなんですねぇ。それは置いておくとして・・
もう一つの普遍的な変わらないもの
逃れられない死を悟ってしまったら・・
この主人公のように市役所を欠勤しこれまで貯めた金をおろして
夜の街を彷徨うのだろうか?
同じく、きっと心の救済はなく
一時の放蕩も虚しさだけが残るだろうね。

行き着く元部下の彼女の言葉
「あなたも何か作ってみたら」といった。
「まだできることがある」か・・目から鱗
人はどんな状況であっても絶望から這い上がることが出来る
それはきっと意志を持って何かをすることだろうかー
豊かな現代にも死んだように生きてる人多いですよね。

ラストのブランコのシーンが印象的でこれがまた素晴らしい。
雪の中「・・命短し恋せよ乙女・・」って歌いながら漕ぐ
つい口ずさむな・・あの歌。
調べてみたら・・
「ゴンドラの唄」って言うんですね。
1915年(大正4年)に発表された歌謡曲がこの映画全編を盛り上げ
映像による心情と背景の対比など・・
やっぱ名作だな。

生きるーってテーマはありがちでありながら
向き合わない日々・・
本当に生きてますか?
そう問いただしています。
「・・命短し恋せよ乙女・・」だよね。