風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

「金閣寺 三島由紀夫」

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今日のニュースでも学生が中学生の子を殺害したと報じてましたが
何か自分ではありえない、異常者か何かがやったと
人ごとの別次元な世界と思える。
しかし金閣寺の事件を題材にしたこの物語は
自分でもありえるかもしれないとの
リアリティを訴えかける。
平素には事件とは無縁と見えて
表裏一体の現実には気がつかないものだ。
創造性の欠如や危機感の欠如とも思える現実生活を考えた。
仮定として非常に耐え難い程の何かや
生命にも関わる現実に立ち向かった時に
衝動的に法律と言う枠に囚われない自分が
存在する可能性はありうるのではないだろうか?
この主人公の青年と自分はシンクロしてしまう。
三島もきっと自分の美への囚われを彼を通じて描いているのだろう。
しかし主人公は美を全うせずに逃げる事を選択する。
三島は自分の生きる美の為に命を絶つ事で全うする。
現実は逆の様で真実は逆なのですよね。
日本海を陰鬱な気持ちで旅する主人公の
リアリティは風景描写とともに心に染みるこの話に
日本海に射す春の光を想像した。