風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『錨を上げよ (上)(下)』 百田尚樹

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男の半生で大阪下町生まれで作田又三の子供時代から30歳までの物語を
上下巻で1200ページを描く荒削りながらも芯のある素晴らしい作品。
この男の破天荒な生き様と私は違う背景や人生の選択をしながらも
根底には私の人生観と同じものを持ってる男に共感し魅了されました。
その心境に至るまでの波乱の人生を運んだものは
本文にあった言葉を借りると・・
「・・それは不運でも必然でもなく環境でもない
「性格」という奴にほかならない
・・どんな優秀な人生教師の言葉より強い厄介な代物は人生の支配者だった。・・」
この性格と言うものに私も支配され深く迷いながらも
選択し生きて来ましたが真理をついてると思うんですよね。
もう一つ人生を決定付ける要素として
主人公が、人生の漂流の中に交わされた台詞には・・
   「人生に何を求めてるのだ」
作田「特に強烈に欲してるものはないですね」
   「それならば、君の人生は決まったようなもんだ。浮き草みたいに
    あっちこっち風まかせに飛んでいくだけだ」
志を基に築かれたもの
それが無くしては浮き草も同然ですし
私にもそんなモノトリアムな時期もあったし
そういった日本の移り変わる時代背景の中で
人の成長や経験、出会いにから学んだものを糧として今があると思うと
人生には一遍の無駄もない
そう思える・・
それは今を精一杯、力を尽くして生きた証であり
幸せであることだよなぁー・・
そしてラストの明日を信じる力主人公の到達した心境に胸が熱くなりました。
きっと何十億の歴史に埋もれた見も知らない人達姿と
この主人公の姿と現在の自分がシンクロして結実した感動作でした。
これはいいです!