風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『不夜城』 馳 星周

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発表当時、話題となった小説で映画を鑑賞した記憶があります。
いつか読もうと思ってた原作をやっと読みました。

新宿歌舞伎町の中国アンダーグラウンド社会の間で暮す劉健一。
元相棒であった呉富春が街に戻り・・恨みを晴らそうと組織が動く
それぞれの生き残りを掛けた罠と想いが交錯しー。
第18回(1997年) 吉川英治文学新人賞受賞作品

ルノアール小説って言葉が使われるようになったのは
この頃からだと思うんですが

この世界観を表現する力は圧倒的
まさにルノアールって代名詞になりうる作品だと思います。

半々と呼ばれるハーフの主人公の男の
誰も信じない生き様
カモかカモられるかの関係しか感じないドライな思考と
多くの傷を背負った男の義兄弟の組織
血族と出身のしがらみ

その中で如何に生き残るのか?

強かに生きる彼らの生は
自分の心にあるであろう眠ってるものを浮き彫りにします。

世界はいや、日本であっても
繁華街にある闇と蔭に蠢く物語は
昼の光の影では確実に存在するんですよね。

薬物で検挙された歌手が居ましたが
これを読んでると深読みしたくなります。

組織は二枚も三枚も裏を読んで蠢いているものですから・・。

金と命、顔役と手下、男と女、羊と狼
エグイけど目を逸らさないこと

社会を動かす源泉は
実は下衆なものかもしれません。

心に響く諦めににた悟り
ルノアールにしかない世界ってものがそこにある。