年老いて介助が必要な祖父と暮らす孫の健斗
職を探しながら介護し祖父の「早く死にたい」と言う願いを
叶えたいと考える健斗のとった行動とは・・。
第153回芥川賞受賞作
短い物語ですが読み手の力を必要とする奥深い物語。
老いとの向き合いは誰もが経験することになるけども
自分が考えてることと行動との差は天と地の距離がありますよね?
健斗の感じるウザさや苛立ちは自分も分かるな
気になるが故のわだかまりや残念な気持ちを代弁してるかの様。
祖父の心の中にもある葛藤やもどかしさがあり
表に現れる感情と相反する本心の対比
健斗のトレーニングによって鍛えられた体とメンタル
それと呟きと嘆きの対比がコントラストとして浮彫にする。
まさに人の一生は”スクラップ・アンド・ビルド”なんですね。
したいことと出来ること願いを叶える手段
人は多くの選択の中で感情に支配され
怒りや悲しみを同時に感じることもあるかな。
先々、自分も同じような立場なり
このような状況が迫ることは必然であるし
目には見えないけども関係は変化しつつ
心の距離の長短はあるものの
同じ時を刻んだ絆は深くなるものですね。
祖父の心使い・・。
最後のシーンで感じて心が熱くなりました。
人の深さと感情の在り処を今一度、考えることになった作品。