風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『サラバ! 上』  西 加奈子

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父の海外赴任先のイランで生まれた圷歩。
自由な母と変わった姉と共に海外で暮らす。

大河のようなそれぞれの人生はそれぞれに動き出す。
異文化での幼少期は衝撃的な影響もあるだろうし
それぞれの特異な事情や性格は人生に大きな影響もあるだろう。

しかし特別に感じないのは
幼少期の独特の密度や範囲から来る世界
これはどこにあっても同じではないだろうか?

印象的なのは
エジプトから帰国する歩とヤコブの別れのシーン
「サラバ」で繋がる数々の思い出


私も幼少期に引っ越しを経験し
当時の友達との別れは永遠の別れのように感じたし
絶望的な孤独観と最後の刹那な時間は今でも思い出せるな。


マンションからの風景は忘れてしまった今ですが
ヤコブと歩のシーンで思い出しました。


その絶望的な出来事から時が経つと
不思議と薄れ往く記憶のシーンが何ともほろ苦い。

特別な家族のようでありながらも
誰にでもある世界に心を揺さぶられる。

人は多くの衝撃的な出来事を乗り越えて
誰もがひとりの人間として成長するんですよね。

このほろ苦い成長から
さて、下巻どんな展開になるのか?
この家族の行く末が気になる・・。