風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『東京會舘とわたし(上)旧館』 辻村深月

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大正11年、丸の内に落成した東京會舘
大正、昭和、平成という時代をと多くの人を経て紡ぐ物語とは・・。
東京會舘にまつわる連作短編5篇。

晴れがましくデビューした東京會舘でしたが
時代や人と共に戦前は大政翼賛会の庁舎となったり
戦中は大東亜会館
戦後米軍に接収されアメリカンクラブオブトーキョー
現在の宴会場は、記者発表会、創立記念パーティ、展示会、各種イベントに利用され
芥川龍之介賞及び直木三十五賞の記者会見や授賞式も行われる會舘の姿。

長き會舘の歴史の中で
人生の晴れの日や重要なイベントを共に過ごし
この建物は人の変遷を見つめて来たんでしょうね。

短編の中では海外ヴァイオリニストのコンサートの為に上京する学生の夢の場所であったり
灯火管制下の結婚式で出来る限りの晴れの日を演出する試行であったり
未知のカクテルを編み出し持成すバーテンダーの試行錯誤の日々
お土産を開発しようとする會舘に勤務する人々の熱き想いであったり

幾多の時代を経て登場する人々同士が繋がる不思議。

立場や想いは違えども、それぞれの思い入れって人の心を熱くするもので
事を成し、繋がり、共に幸せを感じるこの空間。

人生を演出する舞台となる會舘の姿を想像するだけで
この會館を愛おしく感じる

続いて下巻の人生を織りなす物語の続きを読みたいな。