風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『天龍院亜希子の日記』 安壇 美緒

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キツイ企業で働いてる田町譲
彼女とのすれ違いや職場のトラブルを抱えつつも
憧れていた野球選手や元同級生の日記を支えに日々を過ごす・・。
第30回小説すばる新人賞受賞作。


日々、難儀な課題や遣り取りにウンザリしながらも
何故か頑張ってしまう毎日だったり
職場の内心面倒な関係に嵌り込んでしまって身動きとれなかったり
社会に生きてるとそれぞれの微妙な時があったりしますよね。


その微妙さを見事に表現してて
このリアルな日常の会話や心情の吐露を読んでると
まるで物語の中にも自分が存在するかのように感じる。

この現実の日々の中で「呆れた希望」って言葉が出て来るのですが

そこに至る話にも共感してそれを信じたくなる気持ちになる。

きっと多くの猥雑な日常に圧し潰されそうになりながらも
明日を生きて行けるのは、きっとこの呆れた希望が背中を押してくれるからなのだ。

希望が登場人物全ての人に御加護があるといいなと思える話でした。

こんな力量のある作家さんの次回作も気になるな。