風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『サヴァイブ』 近藤史恵

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サクリファイス』『エデン』の前後の
エピソードを描いたスピンオフ的な内容で
主人公の白石誓はもちろんで
これまでの登場人物、孤高のエース石尾豪に
アシストする彼の先輩である赤城
石尾や伊庭も出て来ますし
彼らを主人公にした短編が展開されます。
このシリーズのファンなら読まないと!!

ここに書かれてるそれぞれの主人公は
アシストやエースだったりクライマーにスプリンター様々だけど
それぞれのレースや自転車に対する思いが溢れてて
心地よいんですよね。
アシストの赤城の台詞・・
「後ろを走る俺たちにはエースがゴールを切る瞬間も見れない。
それでもそれを思い描く。彼ならば絶対にやってくれると信じながら」
表彰されるのはエースただ一人なんですが
そこには数多くの嫉妬、苦悩、挫折を乗り越え
アシストとして自分のやるべき仕事をしてエースを勝たせる
そこにロマンとドラマが満ちてるんですよね。
別の章では
自転車に対する愛おしさにも溢れてて
「山の空気はひさしぶりだ。息を吸うたびに、細胞が歓喜に震える」や
違う部分では・・
「マシンと一体になり、風に乗るように走りたかった。
終わりのない苦しい山道でさえ、愛おしかった。
・・・ただペダルを踏んで風を感じることがうれしくて、ここにいるのかもしれない。」



自転車で走ることを愛する気持ちがよく分かる・・・。
あの達成した安堵、充実感や躍動感は
幸福に直結した時を刻むんですよね。
あぁ~走りたい
サイクリストでなくとも走りたくなること請合いの本。


ちなみに・・・。
サクリファイス」のレビュー
http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/59281927.html

「エデン」のレビュー
http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/59574453.html


上記2作に続くロードレースシリーズの3作目です。