風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『教団X』 中村 文則

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謎のカルト教団と姿を消した彼女に公安のマーク
教祖の正体とは?関係する4人の男女の運命とは?
神とは?人とは?人生が交錯する先にあるものは・・。

不意に考えることがある神や運命、世のすべての仕組みについて
この物語の中で教祖を通して象徴的に語られる。


無限のように広がる宇宙に視点を移すと
人の意志や存在の小さなを感じ
逆にミクロに目を転じると量子の世界が関連を持ち意志を存在させる不思議な仕組み
そんな考えに面白いなぁ~と物語とは違う所に引っ掛かり引き込まれる。

物理的な信号の連携によって人が意志をそれぞれに持ち
行動を起こし、感情を持つこの不思議を考えると
人ってなんだろうか?って思うんですよね。

普段から私もこの疑問に解を持つことなく
思想的な何かに縋りたくなる。

宗教に依存するならば、絶対的な教祖の思想があって救われるものだと思う。
この絶対的なものを運命と呼ぶならば
その運命に贖いつつも翻弄される姿は人類のそれだと思うんですよね。 

永遠に解のあるテーマではないのかも知れないけども
人は自分の意志であると思い込みつつ
それを信じて輝く姿が人生なのではないだろうか?

登場人物の必死で生き姿が傷跡を残し
ここから再生するものはきっと同じものではない未来を築くものであると信じる。

長編で560ページぐらいあったかな?
それでも足りない感じで
ラストへの終息のさせかたは急ぎ過ぎたかな?
まぁ、ページとか制限もありますもんね。

人って信じたいものを信じるもので
ここにある物語に見出す結果も実は自分の信じたい物語なのかも知れないですね。