風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『つぼみ』 宮下奈都

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活け花教室で花と向き合う公麻子の妹・紗英、叔母・和歌子、父の元恋人・美奈子三編。
ふらふらしている。不器用な弟と振り回される姉。
手を挙げて/あのひとの娘/まだまだ
晴れた日に生まれたこども/なつかしいひと/ヒロミの旦那のやさおとこ
6編を収録

どれも透明感のある文章と言いますか
そんな文章と同じように物語も透き通った人々が

そんな主人公でもどこか疲れ
立ち止まるりそうになるようなお話の中にも
透き通るような視点で目に見えないものを信じるような良さ。

物語の中でテニスのラケットを選ぶ時に
「卵型のラケットと丸型ラケットのうち丸型を選ぶ理由」って台詞がありましたが
基本を大切にする考え方やそれぞれの向き合い方が
そうさせるって面白かったな。

片意地を張らず自然で誠実に
若き日を過ごすことの素敵さを感じる。

この世界は凄し方ひとつで心地よくもなるものだ。