自動車事故により同乗していた恋人は亡くなり、小夜子は死の淵から生還する
小夜子の中で止まっていた時間が動き出し小夜子は生き続ける。
あとがきにありましたが
よしもとばななさんのコメントでは
「とてもとてもわかりにくいとは思いますが
この小説は今回の大震災をあらゆる場所で経験した人
生きている人死んだ人、全てに向けて書いたものです。」とありました。
大切な人を亡くし、残された自分を想像する。
恐れに似た心の空白を感じその空間を埋める何かを求めるのだろうか?
生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまい
その後の世界とまた繋がり
現世でも、いろんな人とまた繋がったこの世界
「人間が生きるってかぎりない慈悲みたいなものの中で泳いでいるに等しいと思ったのだ。」って言葉
人って一人で生きてる。生きて行けると強がで思ったりしますが
見えないものに支えられて実は生きてるんですよね。
失ったものを埋めるではなく
それはそれで空いたままで元通りにならない心と体であっても
それでも生き続けること
そのときにするべきことをしているときの気持ちが大切って言葉もあったけど
まさに静かにゆっくりと生きること
そのまま自然体でいいんだって思うな
慈悲を感じ、それを慈しむ心を持って生き続ける姿に心安らぐって言葉がぴったりの作品。