風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『塔と重力』 上田 岳弘

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阪神大震災で初恋の相手とともに倒壊したホテルに生き埋めとなり生還したのちも
失われた彼女の記憶を抱えて生きる日々。
大学の旧友との再会に歯車は動く・・。
2つの短篇併録。

『ニムロッド』に嵌り上田岳弘さんの別の作品が読みたくなって手に取った『塔と重力』
キーとなる涙、搭もあったりこの世界観に共通の空気を感じ
俄かですがファンには心地よかったな。

さて、物語ですが
何かの最中に過去の何でもない風景が頭を過ることって不思議とあって
それが何を意味するのか?何て深く考えもしないけど

考えると矛盾しない必然があるんだろうな。

人が亡くなるってことは
今後アップデートもされないその人の記憶は残りながらも
それを含めて未来を生きて行く日々

そこに捉われた心にある”間”

掬われることのない物体が確かに存在し
生きてるとそれで蓄積して行くんですよね。

それは愛ではなく定めなんでしょう。
そして人は完成されることなくアップデートされ続けるのだろう。