風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『悪人』 吉田修一

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なぜ人は人を求め分かち合いたいと思うのだろうか?
孤独に気付くことがなければ
心を支配されることはなかったのに
人は人を求め彷徨う。

「・・・寂しさを紛らわすためだけに、生きていくのはもううんざりだった。
寂しくないように笑っているのはもう嫌だった」

そんな二人が自然に引き合うのは当然の成り行きであり
切なく痛々しく激しい。
あの巡り合わせは恨めしくさえ思えるけど
これが生きるってことなんだろうね。
それぐらい入り込みましたこの作品。

映画を先に観たんですが
どちらも良さがあり
珍しく違和感ないすばらしい出来。
本の方はより周りの登場人物を丁寧に書かれてたのと
手記のような後書きがあるのと無いのでは
印象もかなり違いますね。

冒頭で書いたけど誰しもが持つ
渇望する心に空いた空間を埋めるもの
それはこの二人だけじゃなく
登場人物全てが持つ憂いや影を鮮明に浮き上がらせる。
人の業とはどういうものなのか?
それを正面から見つめること
そんな気持ちが心を捉えて離さない秀作。


ちなみに・・・
映画のレビュー
http://blogs.yahoo.co.jp/gogo_yellow_bicycle/60906993.html