風の音だけが週末のConversation

一粒の砂に世界を求め 野の花に天国を見出す 掌の中に無限を捉え ひと時のうちに永遠を築く この詩のように生きたいな

『水やりはいつも深夜だけど』 窪 美澄

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窪 美澄さんの短編小説
隣に住んでそうな事情を抱えた家族の日常をエッジの効いた文章で描いた作品。

短編には植物の名前が付き
1.ちらめくポーチュラカ
2.サボテンの咆哮
3.ゲンノショウコ
4.砂のないテラリウム
5.かそけきサンカヨウ
の5つの短編が収録されてて

物語は子供の時のトラウマによって大人になっても絶えず他人の評価を気にしてしまう女性だったり
すれ違いに悩む夫婦、子供の成長に不安を抱えてる女性であったり
親の再婚によって義母と義妹と暮らす事になった高校生の話しなどで

私もそうですが
それぞれの特異な事情や冴えない日常が繰り返しであることがあっても
思い出すと、心が温かくなるような絆もあったり
嬉しいことも哀しみもそれぞれに抱えて日々を生きるのが人生なんですね。

その日常をエッジの効いた文章と心理描写に
窪さんの力量は群を抜いてるなといつもながら思います。

人との差異を強く認識するとき
自分以外の人だけが輝いて見え如何に自分がダメなのか?
誰も気にしないような些細なことに気持ちが引っ掛かり
悩み、気を病むようなことってあるんですよね。

そんな痛そうなエッジを触り
痛みに共感しながら
力強く生きてゆく姿は愛おしくもある。

そんな人生の機微を慈しみ
そんな人たちを称えたいって思える作品。